ショコラ~愛することが出来ない女~
「……庄司くんは、まだ離婚してないんでしょう?
やり直すって選択肢はないの?」
庄司くんは少しムッとした顔になり、グラスのカクテルを煽るように飲んだ。
「無いですね。彼女とはもう別れようと思ってます」
「でもお子さんいるんでしょう。小さいうちは可哀想よ。
家族としてはやれるって言うなら、そうやって過ごすのもアリだと思うけど?」
一応人生の先輩として教訓のつもりだった。
私だって、詩子が小さい時にはそんなにキレたりしなかった。
例え、詩子に嫉妬することがあっても、仕事に夢中になる隆二くんに苛立ちが募っても。
あの『ショコラ』開店の話が出るまでは、一応母親としての自分を優先させていたつもりだ。