ショコラ~愛することが出来ない女~


「康子さん」


ぼうっとしているうちに、目の前に隆二くんがいた。
唇が近付いてきてゆっくりと重なる。

さっきの甘いクリームの味がまだ口には残っていて、彼の舌がそれを味わおうと侵入してくる。

それを素直に受け入れて、絡めあって新しい味を模索した。

長いキスを重ねながら、敷かれた布団の上に押し倒される。

彼の手が私の首筋をくすぐるのが心地良い。


「ホントにいいの? 抱くよ?」

「良いってば。でも誤解しないで。復縁する気はない」

「……つれないな。俺は戻りたい」

「戻れるくらいなら別れてない」


そう強気で言い切りながらも、体はすでに彼のなすがままになっている。


彼の作る料理がおいしいのが良く分かる。

こんな風に丁寧に調理されるのなら、素材の方だって美味しくなろうとするだろう。

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