ショコラ~愛することが出来ない女~
「俺にとっては結婚もそんなつもりだったんです。
アイツと二人で力を合わせてこれから人生の山を登る。
そう思ってやって来た。
でも、気付いたら一人で登ってる感じがするんです。
俺の提案に、いつだって『はい』と答えて。
その癖実家では不満をぶちまけてるらしいんです。
結局俺はずっと、アイツに紐をつけて引っ張ってるだけのような気がして。
これから先もそんな人生を送って行くなんて嫌です」
庄司くんが苛ただしげに唇をかむ。
もう彼が奥さんに対して抱いている不信感は、簡単には払しょく出来なさそうだ。
今第三者が何と言ったって、変わるものではないのだろう。
「……うーん。そうね。難しいわね。
不満があるなら有るで、奥様がぶちまけてくれたらいいのにね」
「でしょう?
そうすれば一緒に話しあえる。
でも彼女はそれをしない。
しないなら一緒にいる意味がないって思うんです」
なるほど。
分かるような気もする。