ショコラ~愛することが出来ない女~
「康子さん」
「しょ……」
「俺、あなたが好きなんですけど」
それは久方ぶりに聞く、隆二くん以外からの愛の言葉。
「あなたとなら同じ頂上も目指せる。
年の差とか関係なく、初めて会った日からなんて引力のある人なんだって思ってました」
「は、離して」
「俺の事、男として見てくれませんか?」
心臓が、大きく跳ねる。
それは不可能じゃない。
だってハナから対象外なら、こんな風に心臓は動かない。
「鍵、出してください」
「庄司くん」
「こんなところで押し問答もなんですから、家に入れてくれませんか?」
家に入れたらどうなるのか。
全く安全なんていう保障なんてないのに。
私は素直に鍵を差しだした。
彼がまわした鍵の音が、耳奥にコトリと落ちた。