ショコラ~愛することが出来ない女~
6 一夜のヒメゴト
薄暗い部屋に私以外の誰かが居る。
それ自体が久しぶりなのに、その相手が隆二くんじゃないことまで含めたらもう何年ぶりになる?
「電気どこですか?」
「ああ。ここよ」
私はフラフラした足取りで、居間の電気をつける。
大型テレビとテーブル。
ソファには部屋着が脱いだままの恰好で置かれている。
室内は寒く、私はエアコンをつけた後、新聞や散らばってる服をかき集めた。
「ごめん、片付ける」
「良いですよ。座ってください。足がふらふらしてる。
薬箱有りません? 膝、痛そうなんですけど」
「あ、あそこに」
指差した先を辿って、彼が薬箱を見つけ、消毒薬とばんそうこうを持ってくる。