wolf~あなたが生きた冬~
1年前―

私は咲羅と言う親友が居た。

私達は人並みに明るい女の子だった。

でも.....

ある時、クラスの女子1人が言った。

「美優って最近調子こいてるしウザイ。」

そのたった一言から私に対してイジメが始まった。

床を擦った汚い真っ黒な雑巾を口に入れられたり

トイレの便器の中に顔を無理やり押し込まれたり

ボコボコに殴られたり.....レイプされたり。

そんなひどい事をされていた私を、咲羅は助けてくれた。

すると今度は咲羅がイジメられるようになった。

私と同様にひどい事をされていた。

私の知らないところでもっとひどい事をされていたらしい。

毎日のように知らない男とヤらされていたり

そのほかにもいろいろ.....

そんな咲羅を私は助けることが出来なかった。

咲羅はわたしを助けてくれたのに...。

またいじめられるのが怖かった。

そうやってわたしがもたもたしてる間に、

咲羅は登校拒否になった。

咲羅が来なくなってからイジメは嘘のように無くなった。

私は2ヶ月経っても学校に来ない咲羅が心配になり、

家を訪ねた。

咲羅のお母さんも、前はプっクリしていたのに

疲れているのかげっそりしていた。

その姿を見て、ズキっと胸が痛んだ。

咲羅のお母さんは私を家に上げてくれた。

私は階段をゆっくりあがり、咲羅の部屋の前に立った。

「咲羅、元気?美優だよ?」

私は優しく声をかけた。つもりだった。

「.....なんか用?」

咲羅は嘘のように冷たく言い放った。

私はお母さんを見たときよりも重い痛みを感じた。

ずっと黙っている私にイライラしたのか、

「帰って....帰ってよ!!!」

ドア越しに怒鳴る咲羅の声は、恐ろしい物だった。

当たり前。

私が咲羅に何もしてあげられなかったその報いだ。

自業自得なのだ。

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