wolf~あなたが生きた冬~
死んだら罪を償えるなんてキレイゴトだ。

親友が死んだのは私のせい。

そうやって自分で自分を責めて、逃げたかっただけだ。

「お前は、親友を殺してなんか無い。」

私の、枯れるほど流した涙の最後の一筋が

頬を伝い、地に滲んだ。

灰褐色の髪の毛の男の人は

優しく微笑み、私の頭をポンポンと撫で

涙の跡を擦った。

「うしっ!ここ寒ぃから中入るべ??」

そう言って私の肩を抱き、階段を下りた。

そのとき、フッと思った。

ここは病院だ。

私は精神科にずっと通っていたから、ここに居るけど

この人はなんで病院に居るのだろう?

でもそんな疑問はすぐにどうでもよくなった。

この時はただの風邪だろう、そう思っていた。

あなたが、苦しんでいる事も知らずに――



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