錬金爆発-アルケミ・エクスプロージョン-
夕方の駅前は紅の陽差しと街灯と車のライト、そして立ち並ぶショップの明かりでネリネの目には虚ろな幻想のように映った。
履き慣れない高めのヒールに違和感を感じつつ、ローグを待つ。
黒い影がいくつも通り過ぎ、寂しさが心を満たしていく──数分後に現れた影にホッと胸をなで下ろして、笑顔で駆け寄った。
「すまん、待ったか」
「ううん」
いつもと雰囲気の違うネリネに眉を寄せる。
「どうしたんだ」
「え、なにが?」
「いや、なんでもない」
歩き出すローグの隣に並ぶ。
無言で予約している店に向かう彼の腕に巻き付いて笑った。
それを見下ろし、小さく笑んだ。