錬金爆発－アルケミ・エクスプロージョン－

　部屋の中心に据えられているテーブルの上には、持ってきた分厚い本と乱雑に置かれたメモがひしめき合うと同時に、色んな記号が描かれていた。

　彼女は夢見る乙女──隣に住んでいる４つ年上のお兄さんに恋をしている。

　昔はよく勉強を教えてもらったものだが、彼への恋心が目覚めたのはいつだったろう。

　見つめ返される瞳に心臓バクバクしてたっけ……と、思い起こして唇の端を吊り上げた。

　地下室の雰囲気はますます妖しげに盛り上がり、柑橘系の香りやら色っぽい香りやらがむせるほど充満し始める。

　ここで──

『オブアルシャ・ヤハ・ケスクク・ウェルオーシャン……』

　と、雰囲気たっぷりに低く唱えた。