〜☆恋愛学園物語☆〜(学園編)
「…菜月さん
もしかして…兄さんに会いに?」

私はあたふたするも…、
ここで嘘をつくわけにもいかず…。

とりあえずうなづく。

少し悲しげな顔が、
笑顔では無い何か思い詰めた様な目をしていた。

「…えっといっ居ないよねっ…。
ごっごめんねっ勝手に侵入して…」

あたふたし、
慌てるしか無く…どうしたらいいか、
ただ…ただおろおろ。

「…兄さ…んは」

壁によさり掛かり、
謝り返してきた。

「ダッダイキ君?」

微かに額(ひたい)から
汗を流し、
どこかおかしい事に気付く…。

私は立ち上がり
ダイキ君の近くに…。

ダイキ君の“おでこ”を
触ると、
熱があることに直ぐに気付く。

「ダイキ君…熱があるよっ?
薬は…」

ダイキ君はうつむき…。

「…いいんです…僕の事は菜月さん心配しないで…」
ダイキ君から聞く言葉は、いつも後ろ向きの
ネガティブな言葉。

私は、ダイキ君の手を引きダイキ君をベッドに移動させた。

こっちに目線を向けながらもベッドの上に座るダイキ君。

「ダイキ君には
カリンちゃんも居る…。
ダイキ君が倒れたら
誰が
カリンちゃんを見るの?
ダイキ君は、カリンちゃんの父親でしょ?」

ダイキ君の顔が、
一瞬にして暗くなる。

「…僕は…、カリンの父親になれていない
カリンはここには…居ないよっ、兄さんが連れて帰って…」

私は…、ダイキ君とリョウ君の中で何かあった気がした。

「リョウ君…がカリンちゃんをって」

両手を頭に抱え…
ダイキ君は目を閉じ、
激しい痛みの身体を曲げ
うつむく…今まで見せたことの無いように、
苦しんで居るようにも見えた。




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