〜☆恋愛学園物語☆〜(学園編)
リクは私の言葉を聞くと、私の方に目線を戻し
少し顔を右に傾け
物凄い笑顔を向けてきた。
「僕も、菜月さんの事をもっと知りたいです……
僕凄く嬉しい
僕はあなたが大事です
僕は…」

リク君の顔から涙が溢れ、右肘(みぎひじ)で
涙を拭(ぬぐ)う。

私は、
リク君にお返しとばかりに優しく引き寄せリクの
腰の辺りに両手を回し
リク君と重なる。

「私もリク君が大事だよっ……あなたをずっと思ってる」 リク君の顔は私からは見えないけど、
リク君の涙声で
僅(わず)かに感じ取る。
でも、カノンさんがこんな姿を見たら
きっと悲しむと思った。

「菜月さん……
僕はあなたを連れて行きたい場所が、あります
僕と一緒に来てもらってもいいですかっ?」

私は、リク君からの誘いに乗った
だけど。

リク君は、しゃがみ込み
私に背を向けて
背中に乗るように手で
合図を向けてくれた。

身長から考えても私の方が少し高い、そう考えると押し潰(つぶ)してしまいそう。 「そこにある絵本を持って僕の背中に乗って下さい」
リク君がさっき地面に置いた数冊の本、
私は心配もあったけど
言われた通り
本を持ちリク君の背中に
またがり、背中に乗った。
両肩に手を回すと
リク君は、
ス―ッっと立ち上がる。

視界が高く浮上し、
少しずつ移動……。

リク君は思っていたよりずっとたくましく思えた。

「リク君、大丈夫?」

「大丈夫です……僕
山に来て、
沢山木を運んだり体力つけさせて貰いました。
菜月さんを案内出来る事が僕とても嬉しいです」

リクにおんぶされ、
私は凄く嬉しかった。
気を使って居るのか
無理をして居るのか分からないけど……
私は、リクの背中の首筋
を吸う……。
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