〜☆恋愛学園物語☆〜(学園編)
“チュンチュン”

朝のアラ‐ムを自然からの恵みの様に、
小鳥のさえづりが、
耳に入る。

“ぽわ〜ん”

私の棚から、光が漏れている、
『何だろう…この光り』

私は、ベッドから起き上がる。
重いまぶたを擦り
(こすり)ながら。

ぽわ〜ん…光は、
中に舞い、天井へと上がりパッと消えた。
“トントン”

「?んっ…はいっ〜」

朝の7時30分過ぎ

私の部屋のドアを誰かが
ノックする。

“ガチャ”

“ドアノブが下に動き扉が開く”

「菜月さん…ちょっと、相談したいことが、あるです…、いいですか?」

「うん…どうしたのっ?」
おそるおそる、
カノンさんが、入って来たかなり深刻な顔をしながら
「あっ…あのっ…私…
…」

私は、カノンさんの、
顔が少し赤くなるのを、
感じた。

「ココナッツクリームのパイを作ってみたです、あのっ…、
よかったら味見(あじみ)…していただけますか?」 
『顔が赤くなったのは…、
もしかしたら、食べて貰える事への照れかくし?』


私は、
照れた眼差し(まなざし)を向けられ、心が温かく感じた。

カノンさんが
白い小さなテ‐ブルの上に白くて丸い小皿を置き、
“フォーク”を用意してくれた。

私はベッドから降り、
白くて丸いテ‐ブルに移動し、椅子に腰掛けた。

「いただきます〜!」

カノンさんは、私が食べる姿をじっと見つめている。
し〜んとした、空気…。

「パク…パクパク」

私が食べる音だけが、
響く。

「いっ…いかが…です…かっ?…おいしいですか…?」

カノンさんが、緊張した声に変わる。

「…ん!?」

私はパイの粉っぽい感じが咽(のど)に…
つっかかり。

『こっこらえろっ…でも苦しい…』

「ごほっごほっ」

私はおもいっきり、咳き込み楽になった。

カノンさんが心配そうに、近づいてきた。

「だっ大丈夫ですかっ!?」

「うっうん大丈夫…
すっごくおいしい…よっ」

目から涙がこぼれ落ちる。私は、率直な意見を向けた

「ほっ本当ですかっ…うっ嬉しいです…」

カノンさんがまるで、
安心しかたの様に、
笑顔が溢れている。

「誰かにプレゼント?」

私の言葉に、我に返ったかのように、赤らむ顔。

「あっ…えっと…なっナイシヨです…お味聞かせてくれてありがとうです…しっ失礼します、ですぅ〜。」

『カノンさんはきっと、誰かにプレゼントする、つもり何だなっ…』



私は、
かのんさんの喜ぶ顔が、
しばらく残った。

かのんさんの、好きな人…

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