リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『甘々』・9
この高校の学生達は、高校在学中に将来の夢を決めることが多い。

そしてそのほとんどを叶えているのだから、根性がある学生が育っている証拠だろう。

「私はどうしよっかな?」

「何がだ?」

声と共に現れたのは、先程会った担任兼顧問の先生。

三十代後半で、メガネをかけている。

素っ気無い喋り方と、上手な授業のおかげで、男女共々人気が高い先生だった。

「将来のことです。ちょっとまだ、不安な部分がありまして」

「お前は何になりたいんだ?」

「とりあえず研究をしたいので、大学で科学者をしたいですね」

いろいろと難しいことも多いだろうけど、研究が好きなので、大学もそっち方面を選んでいる。

「ただ…もう一つ、叶えようかどうしようか迷っていることがありますから」

私はわざとらしく肩を竦めて見せる。

すると先生は引き戸の鍵を閉め、近付いてくる。

そして本棚に向かっている私を、背後から抱き締めてきた。
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