愛の花ひらり
社長秘書が用意しなければならないもの
「ここが社長室です」
優子が大きな扉を開けて要に入るよう促すと、目の前には街の景色が全貌できるガラス張りの窓が飛び込んで来た。
「……すごっ!」
思わず口に出してしまう要に、優子はフフッと小さく笑った。
「このような場所は初めてですか?」
「はい……」
一度、この社長室はテレビで紹介された事もあるのだそうだ。何でも、『今、日本で活躍する大企業の社長達』といわれる番組だったらしい。
しょうもない――
その話を優子から聞いた時、要は事実そう感じた。
要の住むアパートにはテレビはない。要の中にはそれを今、有難く思っている自分もいた。
「今度、録画しているDVDをお持ちしますわ」
「えっ!?」
社長室の中で要が優子を見つめる。
今、自分のアパートにはテレビがなくて良かったと思っていたのに、優子の言葉を聞いた瞬間、そのDVDを見たいとまで思い始めていた。
何でだろう――?
そう思いながらも、おずおずと正直な言葉を口に出す。
「あの、私の住んでいる所にはテレビもDVDデッキもないので……」
このように華やかな場所で自分の家の事を言うのはとても恥ずかしい――要の中には羞恥心というものさえ起こり始める。
「あっ、それも知っていますよ。だから安心して下さい」
「えっ……?」
優子は一体どこまで自分の事を調べ上げているのか? 要がテレビやDVDデッキを持っていようがいまいが仕事には差支えがないだろうと思っていると、優子はこれもまた無断でした事であったので、謝罪をしてきた。
「本当にごめんなさい。驚かせてばかりで、怒りもあるでしょうが、テレビは秘書にとっては必要な時もあるので、こちらで用意をさせて頂きますわ」
優子が大きな扉を開けて要に入るよう促すと、目の前には街の景色が全貌できるガラス張りの窓が飛び込んで来た。
「……すごっ!」
思わず口に出してしまう要に、優子はフフッと小さく笑った。
「このような場所は初めてですか?」
「はい……」
一度、この社長室はテレビで紹介された事もあるのだそうだ。何でも、『今、日本で活躍する大企業の社長達』といわれる番組だったらしい。
しょうもない――
その話を優子から聞いた時、要は事実そう感じた。
要の住むアパートにはテレビはない。要の中にはそれを今、有難く思っている自分もいた。
「今度、録画しているDVDをお持ちしますわ」
「えっ!?」
社長室の中で要が優子を見つめる。
今、自分のアパートにはテレビがなくて良かったと思っていたのに、優子の言葉を聞いた瞬間、そのDVDを見たいとまで思い始めていた。
何でだろう――?
そう思いながらも、おずおずと正直な言葉を口に出す。
「あの、私の住んでいる所にはテレビもDVDデッキもないので……」
このように華やかな場所で自分の家の事を言うのはとても恥ずかしい――要の中には羞恥心というものさえ起こり始める。
「あっ、それも知っていますよ。だから安心して下さい」
「えっ……?」
優子は一体どこまで自分の事を調べ上げているのか? 要がテレビやDVDデッキを持っていようがいまいが仕事には差支えがないだろうと思っていると、優子はこれもまた無断でした事であったので、謝罪をしてきた。
「本当にごめんなさい。驚かせてばかりで、怒りもあるでしょうが、テレビは秘書にとっては必要な時もあるので、こちらで用意をさせて頂きますわ」