愛の花ひらり
「すっげー声……一気に目が覚めた」
「あ、あんな事をするからじゃないですか!」
「寝ぼけていたんだから仕方ねえじゃんか」
「だ、だから! 昨日も言いましたよね!? 気安く触らないで下さいって!」
「だからぁ、寝ぼけてたって言ってんだろ?」
要が敦を揺り動かした時、彼の両腕が要の腰に巻き付いてベッドに押し倒されていたのだ。
勿論、人間関係が薄い上に、異性にあのような事さえもされた事がない要にとっては、泣きたくなる程の最悪な体験でもあった。
「あれ? あっ、そうか!」
要が怒り狂っている間に、ダイニングテーブルの上を見つめていた敦が素っ頓狂な声を上げる。
「つ、次は一体何なんですかぁ!?」
「食材も皿も、鍋もなかったんだよな? これ、コンビニの惣菜?」
「そ、そうですけど……だって、材料はないし、鍋もなし、皿もなし……これしか思い浮かばなかったんです。電子レンジがあったので助かりましたけど……」
要が小さく文句らしい言葉を紡ぐと、敦はハハッと声を立てて笑った。
「なかなか機転が利くじゃないか。やっぱ、お前を秘書にして良かったよ」
「あのですねぇ……食事を作れとか命令するんだったら、調理器具とか食器くらい揃えて置いて下さいよ!」
「そうだなぁ……必要だったよな。まっ、今までは寝るだけの為に買ったマンションだし、必要なかったんだよな」
「……そうでしょうね」
恐らくハウスキーパーなどは出入りしているのだろう。埃などはあまりない。
要が敦の家に入って最初に思ったのは生活空間のはずの場所がそうではないように感じた事。敦はただ寝る為だけにここに帰っているだけなのだ。
要がぼんやりと部屋の中を見ていると、コンビニの惣菜を食べだした敦が、ダイニングテーブルの上にポンッと万札を数枚置いた。
「あ、あんな事をするからじゃないですか!」
「寝ぼけていたんだから仕方ねえじゃんか」
「だ、だから! 昨日も言いましたよね!? 気安く触らないで下さいって!」
「だからぁ、寝ぼけてたって言ってんだろ?」
要が敦を揺り動かした時、彼の両腕が要の腰に巻き付いてベッドに押し倒されていたのだ。
勿論、人間関係が薄い上に、異性にあのような事さえもされた事がない要にとっては、泣きたくなる程の最悪な体験でもあった。
「あれ? あっ、そうか!」
要が怒り狂っている間に、ダイニングテーブルの上を見つめていた敦が素っ頓狂な声を上げる。
「つ、次は一体何なんですかぁ!?」
「食材も皿も、鍋もなかったんだよな? これ、コンビニの惣菜?」
「そ、そうですけど……だって、材料はないし、鍋もなし、皿もなし……これしか思い浮かばなかったんです。電子レンジがあったので助かりましたけど……」
要が小さく文句らしい言葉を紡ぐと、敦はハハッと声を立てて笑った。
「なかなか機転が利くじゃないか。やっぱ、お前を秘書にして良かったよ」
「あのですねぇ……食事を作れとか命令するんだったら、調理器具とか食器くらい揃えて置いて下さいよ!」
「そうだなぁ……必要だったよな。まっ、今までは寝るだけの為に買ったマンションだし、必要なかったんだよな」
「……そうでしょうね」
恐らくハウスキーパーなどは出入りしているのだろう。埃などはあまりない。
要が敦の家に入って最初に思ったのは生活空間のはずの場所がそうではないように感じた事。敦はただ寝る為だけにここに帰っているだけなのだ。
要がぼんやりと部屋の中を見ていると、コンビニの惣菜を食べだした敦が、ダイニングテーブルの上にポンッと万札を数枚置いた。