愛の花ひらり
「な、何これ!?」
その部屋には山積みの段ボールが数十個ある。
「奉仕手当の言葉に乗せられるとは……」
お金のない自分が情けなく思う。
要は自分の不幸を呪いながら、段ボールを一つ一つ開封していった――。
その中には確かに大した物は入ってはいなかったが、新品の下着類などは必要な物として敦の寝室にあるクローゼットの所に重ねて置いておいた。
「あと、この三箱だけよね」
見たところ重量感がありそうだと、要は段ボールの開き口に引っ付いているガムテープを剥がしていき、中を覗き込んだ。
「えっ……」
もう一箱開けて覗き込む要。
「嘘っ……」
嫌な予感がした要が最後の段ボールのガムテープを剥がして中を覗き込む。
「し、信じらんない!」
その三箱の段ボールの中には、敦の母親が用意したのであろう、調理器具や食器、期限の切れた調味料などがわんさかと詰め込まれていたのであった――。
疲れ切った要が会社に戻ると、敦と優子も戻って来ていた。
「おっ! ちゃんとできたのか?」
要の後姿を見た敦がポンッと肩に手を乗せると、
「ぎゃっ! 気安く触らないでっ!」
と、相変わらずの拒絶の言葉が投げ掛けられる。
「いい加減、慣れろよな」
「一日や二日で慣れる訳ないじゃありませんか!」
要が壁に背を引っ付けて、敦にあっちに行けと手をヒラヒラとさせる。
「ところで、マンションの方は片付いたのかよ?」
「はい、一応は……」
「一応……?」
キッチンの下の収納庫が大きくて良かったと要は思う。
「じゃないと、あれだけの調理器具なんか入りきらないものね……」
「何か言ったか?」
「い、いえ! 何でもありません!」
その後、マンションに帰った敦が夕食の準備をしている要の隣でキッチンの収納庫や食器棚を見て腰を抜かしそうになったのは言うまでもなく、すぐさま実家に電話をして、自分の母親に文句を連ねていたのであった――。
その部屋には山積みの段ボールが数十個ある。
「奉仕手当の言葉に乗せられるとは……」
お金のない自分が情けなく思う。
要は自分の不幸を呪いながら、段ボールを一つ一つ開封していった――。
その中には確かに大した物は入ってはいなかったが、新品の下着類などは必要な物として敦の寝室にあるクローゼットの所に重ねて置いておいた。
「あと、この三箱だけよね」
見たところ重量感がありそうだと、要は段ボールの開き口に引っ付いているガムテープを剥がしていき、中を覗き込んだ。
「えっ……」
もう一箱開けて覗き込む要。
「嘘っ……」
嫌な予感がした要が最後の段ボールのガムテープを剥がして中を覗き込む。
「し、信じらんない!」
その三箱の段ボールの中には、敦の母親が用意したのであろう、調理器具や食器、期限の切れた調味料などがわんさかと詰め込まれていたのであった――。
疲れ切った要が会社に戻ると、敦と優子も戻って来ていた。
「おっ! ちゃんとできたのか?」
要の後姿を見た敦がポンッと肩に手を乗せると、
「ぎゃっ! 気安く触らないでっ!」
と、相変わらずの拒絶の言葉が投げ掛けられる。
「いい加減、慣れろよな」
「一日や二日で慣れる訳ないじゃありませんか!」
要が壁に背を引っ付けて、敦にあっちに行けと手をヒラヒラとさせる。
「ところで、マンションの方は片付いたのかよ?」
「はい、一応は……」
「一応……?」
キッチンの下の収納庫が大きくて良かったと要は思う。
「じゃないと、あれだけの調理器具なんか入りきらないものね……」
「何か言ったか?」
「い、いえ! 何でもありません!」
その後、マンションに帰った敦が夕食の準備をしている要の隣でキッチンの収納庫や食器棚を見て腰を抜かしそうになったのは言うまでもなく、すぐさま実家に電話をして、自分の母親に文句を連ねていたのであった――。