愛の花ひらり
頭からソファの上に落ちて行く要を、言葉はくれても助けようとはしない敦。要は足裏を天井に向けた状態で、身体はソファにのめり込んでいた。弾力のある高級ソファとはこんなにも身体が沈み込むのかと、要は情けない恰好になりながらも、クッションの好さを全身で感じていた。
暫しの沈黙の後、敦の大爆笑が部屋中に響き渡る。
「見事な落ちっぷりだったな? めっちゃ笑った」
「も、もう! 笑ってないで助けて下さいよ! お、起き上がれないんですから……」
しかし、敦は要のある一点を凝視したままなかなか助けてくれようとはしない。
どこを見ているのだろうと、要が頭を少しだけ上げてみると、自分の穿いているスカートが大胆に捲れ上がっていた。
「うっ……!」
要の顔はみるみる真っ赤に染まっていく。
そして、敦はそこを凝視したまま残念そうに頭を横に振った。
「お前、色気ないなぁ……白かよ……」
「べ、別に下着の色なんか社長には関係ないでしょっ! 早く起き上がらせて下さいよ!」
「それ、三枚千円とか?」
「なっ……!?」
「あ! 当たったか?」
敦がからかうように動けない要の顔を見てニヤリと笑う。
優子は言っていた。社長と秘書は常に信頼のおけるパートナーでないといけないと――。
信頼はしてもらえているのだろう。何故なら、こんな風に社長のマンションを自由に出入りさせてもらっているのだから――。しかし、敦はどうも要を秘書ではなく、自分の暇潰しの玩具のように扱っているようなところがある。
「早く起こせ! 馬鹿!」
「あっ、今馬鹿って言った? 絶対に起こしてやらねえ」
「早く起こせって言ってるでしょ!?」
「起こして下さい、社長、だろ?」
「もう! こんな時は社長も部下も何も関係ないったら! 早く起こしてよおぉぉ!」
恥ずかしさと怒りを綯い交ぜにした要は、ソファの上で身悶えながら叫び続け、敦はというと、暫くの間、ソファの背凭れに腕で寄り掛かりながら要の叫び暴れる姿を面白そうに見つめていた――。
要が自分のアパートに到着した時、時計の針は既に午前0時を回っていた――。
暫しの沈黙の後、敦の大爆笑が部屋中に響き渡る。
「見事な落ちっぷりだったな? めっちゃ笑った」
「も、もう! 笑ってないで助けて下さいよ! お、起き上がれないんですから……」
しかし、敦は要のある一点を凝視したままなかなか助けてくれようとはしない。
どこを見ているのだろうと、要が頭を少しだけ上げてみると、自分の穿いているスカートが大胆に捲れ上がっていた。
「うっ……!」
要の顔はみるみる真っ赤に染まっていく。
そして、敦はそこを凝視したまま残念そうに頭を横に振った。
「お前、色気ないなぁ……白かよ……」
「べ、別に下着の色なんか社長には関係ないでしょっ! 早く起き上がらせて下さいよ!」
「それ、三枚千円とか?」
「なっ……!?」
「あ! 当たったか?」
敦がからかうように動けない要の顔を見てニヤリと笑う。
優子は言っていた。社長と秘書は常に信頼のおけるパートナーでないといけないと――。
信頼はしてもらえているのだろう。何故なら、こんな風に社長のマンションを自由に出入りさせてもらっているのだから――。しかし、敦はどうも要を秘書ではなく、自分の暇潰しの玩具のように扱っているようなところがある。
「早く起こせ! 馬鹿!」
「あっ、今馬鹿って言った? 絶対に起こしてやらねえ」
「早く起こせって言ってるでしょ!?」
「起こして下さい、社長、だろ?」
「もう! こんな時は社長も部下も何も関係ないったら! 早く起こしてよおぉぉ!」
恥ずかしさと怒りを綯い交ぜにした要は、ソファの上で身悶えながら叫び続け、敦はというと、暫くの間、ソファの背凭れに腕で寄り掛かりながら要の叫び暴れる姿を面白そうに見つめていた――。
要が自分のアパートに到着した時、時計の針は既に午前0時を回っていた――。