今日で終わりにしてくれますか




「嘘吐き、だよ」


私にはそれしかないもの

穏やかにその言葉を紡げたのは、彼が私を責めて伝えている言葉じゃないと分かったからだ

優しいよ、君は


「じょーだんですよ。お姫様」

「・・・・メイドじゃなくて?」


しょうがないから庵の冗談に付き合ってみようかな

今の私は、前の私より脆くなってしまった

もう、颯人の前に立っていることだって出来ないのかもしれない


本当は

ずっと前から、私という人格が颯人に向き合っていたことなんて、無かったのかもしれないなあ

ずっと、気づかないフリして逃げていたんだろう

そして、これからも


「メイド紅鈴ちゃんのご主人様は誰なの?」

「ん~」


ふざけあう時間が一番楽しくて仕方ないのに、それが壊れる瞬間を迎えたくてたまらない


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