今日で終わりにしてくれますか



それだけ、好きなのに


「とど、かないよぉ・・・っ」

「・・・・・」

「いつも、言葉で誤魔化して。いらないなら、いってってばぁ!!わた、わたしっ」


私が苦しんで泣くたびに抱きしめる腕の力が、段々と大きくなっていく

それはまるで、いままでの私の心を現しているみたいで

もっともっと、苦しくて

泣きたくなった


「い、おり・・・・っ!たすけ、て」

「・・・・頑張ったな。紅鈴」


オマエは、ちょっと休んどけ


そう言って嗚咽が止まらない私の頭を元気づけるかのように、雑に撫でる

わしゃわしゃと乱れる長い髪が、正直なところ鬱陶しい

でも、触れる体温が心地よくて、もう少しこのままでもいいや、なんて思ったのもまぎれもない事実だった


私、優柔不断だな

庵にちょっとときめいてた、とか

それでも颯人のこと、好きなんだから



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