今日で終わりにしてくれますか
何もかも知らないままでいるから、自分だけこんなに悲観ぶることが出来るのだ、なんて
このときは、考えてもいなかった
ましてや
彼女の本当の気持ちなんて
ギィイイイ――――
「・・・・?」
誰もいない屋上
人なんて蹲っている俺だけで
唯一と言えば数分前、俺に背を向けて静かに扉を閉めた彼女がいたくらいだ
屋上のカギが開いていることを知っているのは、俺と彼女と、あの知らない女のみ
じゃあ、いまこうして扉を開けて入ってきた
「オイ。アンタ、橘颯人だよな」
「―――――――あ?」
コイツは、一体誰なんだ
俺の名前を呼んだ黒髪の男
その姿は、何処か儚げで綺麗
だけども内に、容姿に負けないくらいの芯を潜めている
こういう輩が、この世界中で光と言われるのだろうか
それとも
闇と、言われているのだろうか
自分とは明らかに違うその漆黒の髪に問い質したくなった