今日で終わりにしてくれますか




「傷つける?俺のことなんて、存在していないかのような扱いなのに?」


アンタ、一体何のことを言ってるんだよ


腹立たしいという感情が体中を埋め尽くして、巻きついて放れない

漆黒の男にその苛立ちをぶつけて、自傷気味に笑った


アンタ、意味分かんねぇよ

紅鈴が俺のことで泣くワケないだろ

傷ついたことはあったのかもしれない。それでも今の彼女は俺なんて必要もしていなくて、その場面を見ても関係ありませんって顔して俺に言うんだ

”橘くん”って

昔のように



あの頃の俺らのように


「マジで自分本位だな。自己中っていうか」

「・・・・は?」

「まあ、紅鈴も紅鈴で考え込みすぎて悲劇のヒロインになってるけど」


それも全部、アンタから解放されれば済むことなのにな


この男は、一体何を言いに来たんだ

俺に、愚痴を言いに来たのか

それとも紅鈴の身を案じて声を掛けてきたのか


一体全体、何がしたい―――――


思惑が目を過って、眩みそうな視界に目を細めた



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