今日で終わりにしてくれますか
「アンタさあ、これ以上紅鈴を惨めに・・・・ていうか、あんなイイ女を低レベルにさせんなよ。遊ぶか紅鈴を大切にするか、どっちか選べねぇの?」
――――どちらかを選ぶ
漆黒の男が放った言葉は、紛れもない正論だった
俺がいつもいつも彼女のことで失敗してしまう理由が
”優柔不断すぎて選べない”ことだった
「ああ、無理か。どちらか1つなんてアンタには無理だよな。確かにアンタのその行動には訳があるのかもしれない。今の世の中、ワケあり人間がいないなんて、有り得ねーもんな」
何処か小馬鹿にしたようなその声に、一瞬にして冷えたハズの苛立ちが、また這い上がってきた
オマエは、何も知らないだろ
俺らの関係を、1つも
「オマエに何が分かるんだよ。何も知らないクセに」
「ああ、知らねぇよ」
「!」
「だけど分かりたくもない」
その瞬間の男の瞳がとても黒くて、光さえなく、外見や印象に似合わず冷たいオーラを纏っていた