今日で終わりにしてくれますか


返せよ、俺の女


「そうやっていつまでも蹲ってろよ。動かないんならそのまま大人しくしてろ。俺は好きにさせてもらう。だけどこれ以上、紅鈴を傷つけるな」


スタスタ、俺から離れて扉の方向へとそんなに遅くもない速度で歩いていく


「もし、紅鈴がアンタの前で泣いたりしたら」




―――――――そのときは



刹那、俺のいる方向に向かって振り向いたかと思えば、思いっきり走り出し

Yシャツの襟を、胸倉を力強く掴んで


「オマエから、奪うから。容赦なく俺のモノにする」


”紅鈴は、俺の女だ”


添川庵は、俺に向かってそう吐き捨てたのだ

噂通り、コイツはやっぱりこういうヤツなのだ

なのにどうしたことだろう。紅鈴の前だとやけに優しくて楽しそうだと聞くではないか

有り得ない



< 190 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop