今日で終わりにしてくれますか
返せよ、俺の女
「そうやっていつまでも蹲ってろよ。動かないんならそのまま大人しくしてろ。俺は好きにさせてもらう。だけどこれ以上、紅鈴を傷つけるな」
スタスタ、俺から離れて扉の方向へとそんなに遅くもない速度で歩いていく
「もし、紅鈴がアンタの前で泣いたりしたら」
―――――――そのときは
刹那、俺のいる方向に向かって振り向いたかと思えば、思いっきり走り出し
Yシャツの襟を、胸倉を力強く掴んで
「オマエから、奪うから。容赦なく俺のモノにする」
”紅鈴は、俺の女だ”
添川庵は、俺に向かってそう吐き捨てたのだ
噂通り、コイツはやっぱりこういうヤツなのだ
なのにどうしたことだろう。紅鈴の前だとやけに優しくて楽しそうだと聞くではないか
有り得ない