今日で終わりにしてくれますか




「すみません。仕事、してました」

「ふふ、知ってるわ。だって、目の前のあかりはメイド姿だもの」


本当に、可愛いわ

そう言って再度嬉しそうに笑い、私の頭を撫でる彼女の感情が移ったのか、私まで嬉しくなった








彼女と出会ったのは、今年

―――――入学式の前日のこと



その日は、百合亜と会う約束もなかったので、スーパーにお菓子を買いに行っていただけだった


『・・・・あのダメ男』


何処からか聞こえた吐き捨てるような声に思わず視線を向けると、美女が地面に転がっていた空き缶を蹴っていたのだ

そう


思いっきり


怨みつらみを込めるように、想像もつかないほどの力で空き缶を悲惨な状態にしていた

ベコベコのグシャグシャ、そして真っ平らになった瞬間



『―――――、わっ』


その板状になった空き缶だったモノは、彼女の足によってこちら側に蹴り飛ばされ、私の顔面すれすれ

つまりは真横を通り過ぎた



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