今日で終わりにしてくれますか







それでも君は振り向いてくれないのでしょう?


「も、やだ・・・」

「・・・・っ」

「もうやだぁ!」

「女神さま!!」



咎めるような声が響いて、へたりとその場に座り込んだ

冷たい風にさらされた廊下は、氷のようだ


もう気力もないよ。誰にも顔、会わせられない。恐い

人が、恐い


意地なんて張らなければよかった。恐いと言えていたらよかった。平気なフリして人の前に立って、嘘を吐かなきゃよかった


そうすればこんなにも恐い思いをしなかったのに


全身から、何かが抜け落ちていくこの感覚がとてつもなく恐ろしい


何もかも、手に入れた大切なモノが、私からすり抜けていくようで


もう、終わりだ




終わっちゃった


「なぁに?貴方は、コレを望んだんじゃないの?」

「ちが、」

「颯人みたいに、コレを望んだんでしょう?」


彼のように、ただ静かに崩れていく私が見たかったのでしょう?

崩したかっただけなのでしょう?


信用を染み込ませて、あっさりと形を崩して、それでも縋りつく様を見て、何て愚かだと見下したいのでしょう?


だから私は、君に縋らないよ



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