今日で終わりにしてくれますか




気づかないフリして無理矢理納得させていただなんて、世も末だ。いつから私、こんなに弱くなっちゃったの


・・・・・それとも、前から?



目を反らしてはいけない。ちゃんと、前を見なくては。だから彼が、私の前に現れたのでしょう?


やっぱり、潮時なんだ


「─────、今日は」


真っ直ぐな視線が身体を貫いていくような気がする。彼が現れた理由は、この前訪れたときに聞いた

颯人とよく一緒にいる・・・確か、壮摩(そうま)という男が私と庵のことを言っていた為、気になって話をつけに来たらしい


友達思いな良い男の子だ。颯人の近くに、ちゃんと大切にしてくれる人がいたというだけで私は嬉しい

だからそれだけでいいんだよ、とはこれから先も多分言わない。言ったら彼に怒られるだろうから


「今日は、」

「あかり?」


不意に、達貴くんの声を遮るように聞き慣れた安心する、あの低い声が耳を揺すった


何で、今ここに


「い、おり?」


庵がいるの?


向かいにいる達貴くんも突然の登場に驚いたらしく、目を大きく見開いている。どうやら、彼が呼んだわけでは無いらしい


じゃあ、どうしてここに






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