今日で終わりにしてくれますか
「橘くん、ハヤトってどんな漢字なの?」
「ん?急にどうしたの?」
いつもの如く、寒空の下。不思議そうな顔をした橘くんに質問を被せる
「そういえば、どんなのだったかなぁって」
「えっとね、颯爽のさつの字と、人って書いて颯人だよ」
「そっかぁ・・・・・何でそんなに嬉しそうなの?」
橘くんの漢字を聞いて、颯人、ね。と頭の中で復唱する。すると次に視線を向けたとき、彼の口角がゆるゆると上がっていた
それはいつかに見た、彼の嬉しげな顔で
「アカリちゃんが、俺に興味を持ってくれたなぁって」
「へ?う、うん?」
「ねーねー、じゃあアカリちゃんは?何て漢字??」
いつもと違って、小さな子供のように無邪気な態度で聞いてくる彼。妙に可愛らしいなぁ、と思いながら口を開いた
「紅に鈴って書いて紅鈴。紅ってアカとも読めるでしょ?」
「なるほど。紅鈴ちゃん、かぁ・・・・可愛い名前。似合ってるね」
言い終えた瞬間、ふわっと笑った橘くんに、どうしようもなく見惚れた。本当に、幸せって言葉を具現化したような顔をするから
橘くんに、目を反らせなくなった
いつも、反らしながら過ごしているのに
「ね、紅鈴って呼んでいい?」
「・・・・え?あ、いいよ」
言葉を聞かずに返事をして、何に承諾したのか分かっていなかったり。ぼんやりして、何だか可笑しい私