今日で終わりにしてくれますか





鈍る思考の隅で考える


「あかり、紅鈴」


噛み締めるように、私の名前を呟く橘くん。必死そうに、でも嬉しげな姿は、私の知らない感情だった


「紅鈴も、俺のこと名前で呼んでよ」

「な、名前?」

「うん」


顔をあげた橘くんは、もういつもの彼に戻っていて


また、囚われる


「は、やとくん・・・」

「呼び捨てにしよーよ」

「う、は、颯人・・・?」

「うん。よろしい」


満足そうな声やいつもの彼の匂いさえ


「俺馬鹿だなぁ、やっぱり我慢出来ないや」

「え?」


しみじみと呟く姿だって


「紅鈴、好きだよ。俺と付き合って。ね、一緒にいよーよ」


ひとりにしないから


嗚呼、捕まった、と


何故かそう考えてしまった

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