今日で終わりにしてくれますか
そうか、次は数学だ。なんてこった。教科書を忘れてしまった
「(誰に借りに行こう・・・・)」
ふと、友達が少ないという事実に気がついた
ど、どうしよう。盲点だ。しかも淋しいぞこれは。実質、私の仲の良い友人と言えば百合亜くらいで
これは誰の目から見ても事実なので、覆すことは出来ない。颯人は友人じゃなくて、恋人、ってやつらしいし
私には見えないものだらけで、何も分からないや
「穂束」
何が私を取り巻いて、
「ん?あ、須賀くん。どうしたの?」
「穂束、教科書貸そうか?時間割見て挙動不審になってるし」
何の教科?そう言って机に近づく須賀くん。それなりに、親しい人だ
こうやってただ優しい人だっているのに、現実を見ていなかっただけだと、私は最近になった気づく
悲劇を象った主人公になるには、荷が重すぎた
だって私は、私でしかないもの
そう感じられるのは、どう考えても颯人のおかげなのに。それなのに彼は、それを伝えるといつも笑って誤魔化してしまう
苦笑して、視線を反らす
その姿がたまらなく嫌だった
「(本人には、言えないけれど)」
「あーっと、数学か?」
「あ、うん」
「えっとー・・・・」
ガサゴソとスポーツバックの中を漁る須加くん。これじゃねーな、なんて言って取り出してはポイポイ投げる
お、おおう。何か斬新だ。ちょ、投げないであげて。そのジュースパック結構痛いんだよ・・・!