今日で終わりにしてくれますか





カチ、カチ


シャープペンシルの中にある芯を出すためにノックを押す。ぼーっとして考えているときに、私がよくする癖だと百合亜が言っていたのを覚えている


颯人は、私にとって何なのだろう。そしてあの人は、何処の学校の人で、いつも何をしているのだろう


考えてみたって、颯人が言うであろう答えが見えすぎていて、聞く気になれない。多分彼は、またあの笑顔で


「(誤魔化して、傷ついてしまうんだろうなぁ)」


ずっとそれだけが頭にあって

あの大嫌いな笑顔で、言うんじゃないかって


悩まなくてもいいことを悩んで


「あ、そうか」


そうして、はた、と考えたら、いつの間にか私は、彼のことを好いていたらしい。ほんの些細なことだけれど、頭で理解出来たのはそれだけだった


その好意は、まだ大きなものではないけれど


そんなことで悩むくらいは、彼を気にしているみたいだった


けれど私は、彼が思うような愛は返せない。付き合う前、時折見せる暗い色に私は、一緒に染まることは出来ない、と思っていたから


何故かそれだけは頭の中にあった


ひとまず分かったのは、私の中の颯人への認識だ


他は何も分からないまま


まぁ、本人に聞かないと何も分からないことくらい知ってるけれど。私も、聞く気になれないし



< 267 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop