今日で終わりにしてくれますか
疑うくらいなら、全て捨て去りたい。そうすれば、楽なのに
逃げてしまえたら楽なのに
でもきっと私は逃げられないし、逃げる気にすらならないんだ。颯人の瞳を見て、一緒に居たいと思ってしまうんだ。今日も明日も、きっと同じ答えでしかない
その堂々巡りが、今は怖い
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「紅鈴」
百合亜が私に話しかける。帰りの会も終わって、帰り支度をしていた私。肩紐を持ちながら後ろを向くと、少し暗い顔をした百合亜が私を見ていた。
「どうしたの、百合亜」
「あのさ、ちょっと…」
そう言って腕を引っ張って、靴箱のある場所まで降ろそうとする。
「ちょ、待って、百合亜!落ちるからっ」
私の言葉を聞くこともなく早足で歩き進む。持って帰る教材が重くて、肩にちゃんと紐を掛けていないせいで時々ふくらはぎに当たって痛い。何でそんなに急いでいるのだろう
百合亜、何かあったのかな…?
トントントン、静かな階段に響き渡るシューズの音。校舎の外から運動部の声が聞こえてくる。柔らかく差し込む夕日が、今が放課後であることを再確認させた
階段には今、私と百合亜しか居ない
「百合亜…?」
どうしたの?いつもより元気ないよ??