今日で終わりにしてくれますか

嫌な予感が止まらない。そう分かっていても、やっぱり私は彼女が大切で、大切を何かと天秤にかけることは出来ない。

口を開いて声を出した途端、何かが崩れた気がしたんだ


「たちばな、はやと…橘颯人だよ」


ほら、もう。あんなにも壊したくてたまらなかったものが一瞬で


「制服は?」

「え、と…ブレザー?」

「あぁ、もう!何でこんな…」


窓に向かって叫ぶ彼女。何が何だか分からないけれど、百合亜がこうなるってことは私にとって良くない事なんだろうと察しがついた

このとき、見て見ぬ振りをしていたモノが終わったのかもしれない


「紅鈴、よく聞いて。橘颯人は…」


今ほど耳を潰して何も聞こえなくしてしまいたいと思った事はない。きっと、これから先もずっとずっと。永遠に、あのぬるま湯の中に、颯人の檻の中に浸かっていられたら

夢物語は終わる


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