今日で終わりにしてくれますか
だって彼女はこんなにも優しい
「橘のこと、見なくていいんだからね」
みーちゃんが名前を呼んだときに私が顔を歪めたことに気づいたのか、彼女は颯人を”橘”と呼んでくれる
そんなことしなくてもいいのに
彼女の掌から伝わるぬくもりに甘えながら、そんなことを考えた
「花崎、アンタは認めてあげる」
「当たり前でしょ。私は橘目当ての女じゃないんだから」
頭上で繰り返される会話
それはいつかの私のこと
颯人と付き合うようになって、ちゃんとした女の子友達といえば百合亜くらいだった
他の女の子達は颯人目当てで私に近づいてきては颯人に抱かれて、それをさも当然の如く私に自慢してくる
いつしか、友達なんていなくなっていた