ENDLESS LOVE MAZE
「この人、とても頭が良くて、大学は医療を専門に勉強していたそうよ」
緑さんが料理に手をつける。
その野菜を見ながら、私は愛想の良い笑顔を崩さず、行儀よく座り続ける。
「梓、この方とお見合いする気はないかしら?」
耳を疑った。
危うく崩れそうになる表情を必死でキープし、緑さんに冷静に聞いた。
「お見合い、ですか?」
「えぇ。パーティの夜ね、蒼人さんが梓に会いたいって。そのときは断ったのだけど、後から電話が来たのよ。お見合いしませんか、って」
どく、どく、と心臓が無駄に活発になる。
まさか、この人は。
「明日、ここに蒼人さんが来るの。そこで、お見合いとまでは行かないけれど、蒼人さんとお話だけでもしてくれないかしら?」
緑さんは上機嫌に私に微笑みかける。
冗談じゃない、と叫びそうになった。
「今すぐじゃなくて良いわ。要さんと、蒼人さん。貴女はどうするかを、聞きたいの」
「・・・・・・はい」
私は机に虚しく広げられた写真を見下ろした。