ENDLESS LOVE MAZE
ふざけた人間に費やす時間なんて無い。
私は千崎に背を向けた。
「どうぞ、お引取り下さい。私は貴方に全く気がありません」
「君、いいの?俺があのおばさんに色目使うだけで、君と俺は結婚できるんだ。それに抗わないの?」
ぎ、と振り返って千崎を睨んだ。
「・・・・・・随分勝手な紳士ね。そんなので私を弄ぼうとでも思ってるの?」
「弄んでなんかないよ、俺は本気だよ?君と一緒に居たら、楽しそうだ」
「そんな感覚で、婚約を勝手に決めないで欲しいわ。こっちは人生が掛かってるのよ」
千崎は、にやりと笑った。
机から立ち上がって、私の正面に立つ。
顎を反らして、そいつを睨み上げた。
「俺、強気の女が好きなんだ。まさに君。
一目見たときから決めてたんだ。」
「な、何を・・・・・・」
千崎は高級な絨毯の敷いてある床に方膝をつく。
そして、私を見上げながら、あの甘い笑顔で手を取った。
「結婚してくれないかな?梓ちゃん」
私の手を取って、緑さんにつねられた方の手の甲にキスを落とす千崎。
私はびっくりして、声が出なかった。