ENDLESS LOVE MAZE
私は、学校と言うものに行ったことがなかった。
小学校に上がる前に、凛堂家に引き取られてしまったし、学校なんか通わなくても、家には有能な教師が、厳しく指導してくれるからだ。
友達、と言う存在だって、できたことがない。
毎日、知らない教師との対話で、どこの国のか分からない歴史や、将来使わなさそうな数学の公式を覚えたり、自分の為にならないマナーを学んだりした、人生。
だけど、その人生の中で私はほんの数分、要と喋れるのを楽しみしていた。
毎日の苦汁のご褒美、そう思えるのは要だけだった。
生きる、理由の要。
その要が、まさかずっと“仕事”なんかで家に来ていたなんて。
叩かれた頬が、今更じんじんと痛んできた。
疲れた。
私は頭の中で、その言葉が浮かんだ。
毎日、社会へ出た時の為のマナーを勉強して。
世間に認められるためだけの勉強をして。
怒られて、殴られて、それでもずっと耐えてた毎日。
毎日毎日毎日毎日毎日毎日、ずっと、頭に疑問を抱えてた。
“こんなに頑張ってて、本当に私のためになるのだろうか?”
そう考えたら、どっと疲れが私の体に圧し掛かった。