ENDLESS LOVE MAZE
「そこの奥の部屋が、浴室だよ。良かったら使って」
「浴室?そんなのもあるの?」
「だってここ、一応メイクルームなんだ。ウチで作った化粧品を実際に試して、使い心地を試す部屋なんだよ。今は俺の物置部屋だけどね」
千崎は軽い口調で、そう言った。
流石一流メーカー。
設備からして、上質。
「早く行ってきてよ。くさくて仕方無い」
「じゃあ海なんかに連れて行かないでよ!」
「あーはいはい、行ってらっしゃい」
千崎は耳をふさいで、私に手を振った。
濡れた服が、私の体温を奪う。
仕方無い、今だけは千崎に頼るしかない。
時間を確認しながら、私は奥の部屋の扉を開けた。