ENDLESS LOVE MAZE
「・・・・・・・・・・・・しまったわ」
相手はあの、一流メーカーの後継者ともあろうお方だった。
頭脳は私の何倍も上。
掛けておいたはずの、服がない。
私はタオルにくるまって、シャワーで濡れた全身を拭きながら、呆然と立ち尽くした。
どうするか。
まさか、全裸のまま千崎の前に行くなんてこと、できるはずがない。
だからと言って、ずっとこのまま立ち尽くしているのも、時間が過ぎるだけだし。
壁にかけてある時計に目を遣る。
午後の五時を少し回ったところだった。
まわりに何か着れるものがないかと見渡す。
「困ってる?梓ちゃん」
そして、扉の向こうから待ってましたとばかりに、憎たらしい声がする。
「・・・・・・・・服返しなさいよ」
「いいの?扉開けちゃって。」
「・・・・・・・・・・・」
扉の向こうに居るであろう千崎を睨みつける。