ENDLESS LOVE MAZE
声が出なかった。
今、私の状況は体にタオル一枚を巻いているだけで、中は勿論何も着ていない。
そんな状況で。
「う・・・・わっ?!」
千崎はにこやかに笑いながら、私を横抱きにした。
「梓ちゃんが睨む目付きって、ぞくぞくするよね」
「気持ち悪いこと言わないでよ。下ろして」
千崎はそのまま進み、先程までごろついていたソファに腰を落ち着けた。
「んー、どうしようかな」
「まずは私を下ろすことが最優先だと思うわ」
「それじゃつまんない」
そして、そのまま千崎は私の濡れた頭を撫でて、立ち上がった。
「ちょっと待ってて」
上機嫌そうに見える千崎がその後持ってきたのは、ドライヤーだった。
「髪、乾かしてもいい?」
「え、なんで」
「梓ちゃんの髪から垂れる水が、冷たいの。」
「・・・・・・・・・」
返事も聞かずに、千崎はドライヤーに電源を入れる。
温風が私の顔を撫でた。