アタシとカレの時間。

 その言葉に封じていた何かの鍵が開いた。

 そこから溢れてくるのはただ、目の前の人への『愛しさ』。


「よかったらさ、和乃の返事聞きたい。」


 唇を噛む。

 ずるい。

 自分だけこんなに格好付けて。
 あたしが気付こうとしなかった感情を教えるなんて。
 でも、それが智志なんだ。


「あたしも好きだ、馬鹿。」


 素直に言えないあたしを智志は昔と変わらない笑みで迎えた。


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