リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『鬼畜』・1
「ご苦労」

けれどご主人様は書類を手に取ろうともしない。

ただ真っ直ぐに、あたしを見つめるだけ。

…居心地悪いったら、ありゃしない。

ここに他の誰かがいれば良いんだけど、あいにく、全員出払っているみたいだ。

「…で? お次は何をすれば?」

沈黙に耐えかねて聞くと、ニヤッと笑う。

イヤ~な笑みを浮かべるなぁ。

「ちょうどヒマを持て余していたんだ」

「はあ…。ならゲームでもしますか?」

「別の方法でヒマを潰す。こっちへ来い」

「…はいはい」

渋々言われた通り、ご主人様の元へ行く。

「今日はどんなことをご所望で?」

腹をくくってご主人様を見下ろすと、いきなり腕を掴まれ、引っ張られる。

気付けばご主人様の上に座る姿になっていて、驚いて身を引くヒマもなく、そのままキスされた。

「んむっ…!」

反射的に逃げようとして、ご主人様の胸に手を当てて押すも、びくともしない。

…こういう時、男と女の体格差を恨めしく思ってしまう。
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