リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『鬼畜』・1
「俺の側にいるクセに、分からないのか?」

「ご主人様だって、あたしの気持ちは分からないでしょうに」

どんな願いだって、全力をもって叶えなければならない屈辱を、毎日のように味わっているのだ。

それは絶対に、コイツが知らない感情だ。

「そうだな。お前がいつまでも意地を張っている気持ちは分からないが、見ていて面白い」

サドめっ!

声には出さずとも、目線で伝える。

どーせ屈辱に打ちひしがれるあたしの姿を見て、笑っているんでしょーよ!

「お前は体の方が従順だな」

「…無理やりそういうふうにしつけたご主人様が、何をおっしゃりますか?」

思わず嫌味な敬語を使ってしまう。

さっきみたいに無理やりキスをするのは日常的なもの。

時にはご主人様の家に泊まるように言われることもあり、人が逆らえないことをいいことに、好き勝手をしてくれる。

「でも心までは俺の物にはなっていない」

そう言いながらも、表情は物凄く楽しそうだ。
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