Sugar × Spice Ⅲ〜ハジメテは年下幼馴染〜
「おい、咲…?」
私はギュッと涼を抱き締める。
「……私、涼ともっと一緒にいたい。
涼のそばにいたい」
変だよね。
私たち、18年も幼なじみしてるのに、
こんな風に思うなんて……。
これが、特別な“好き”ってこと……?
「…それだけ?
咲は俺と、そばにいるだけで良いの?」
「ゔ……」
涼の腕が、私の背中に触れた。
「………私の“初めて”、もらってくれるんでしょ?
私も、涼の“初めて”が欲しい。
お願い……
涼の“初めて”、私にちょうだい」
言って、急に恥ずかしさが込み上げてくる。
な、な、何言って、私……
「…ハハッ、何だよそれ、すげーセリフだな」
涼が可笑しそうに笑って言った。
「なっ…?!涼だってそう言ってたじゃない!」
涼が肩を掴んでそっと身体を離すと、私の顔を覗き込む。
「こっちはずっと、我慢してやってたのに」
「…え?我慢して…」
その時。
涼の唇がそっと重なる。
そっと、触れるだけの優しいキス。
「…“焦ってない”なんて、ウソに決まってるだろ。
ホントは、すぐにでも咲を俺のものにしたかった。
……だけど俺だって初めてだから…
どうしたら良いかわかんねぇんだよ…」
涼がどこか恥ずかしそうに、照れたみたいに視線をそらした。
……そっか。涼も同じなんだ。
私たちはお互い手探りで…わからないことばかりなんだね。