Sugar × Spice Ⅲ〜ハジメテは年下幼馴染〜
「おはようございます」
「あら、咲ちゃん。いらっしゃい」
時間になっても出てこない涼を見兼ねて、私は涼の家を訪ねた。
涼のお母さんが顔を出す。
「涼ならまだ起きてこないけど、もう出かける時間なの?」
「えっ」
涼が寝坊なんて珍しい。
人が寝坊すると、絶対怒るのにアイツ…。
「最近夜遅くまで勉強してるみたいだから…咲ちゃん、起こしてあげなさいな」
そう言われ、私は涼の部屋がある2階へ上がった。
「涼、入るよ?」
軽くノックして、ドアを開けた。
部屋を覗くと、涼はまだベッドの中だ。
私はドキドキしながら、そっと涼の部屋に入る。
男の子の部屋にしては、割りと片付いた部屋。
だけど勉強机の上には、パソコンとよくわからない教材の数が乱雑に置いてあった。
“…勉強、大変なのかな…"
涼の行く大学は有名私立大学だし、いくら幼稚舎からエスカレーター式とはいえ勉強しないと単位取れないだろうし……
私はそっと、ベッドで眠る涼を覗き込んだ。
小さく寝息を立てて、スヤスヤと眠る涼。
その姿が、昔の涼と重なった。
“寝顔は全然変わってない…”
小さい頃は女の子みたいに可愛かった涼。
今ではすっかり成長して、背もぐんぐん伸びて、その頃の面影なんてまるでないと思ってたけど…
“可愛い…”
口を開けば生意気ばかりで、
私のこと、バカだのアホだの言いたい放題で…
でも……