虹色歓談
「私、あの時、あずったけど、とっといて、良かった」

あずるとは、難儀をするという意味の広島弁だ。

私の母と同い年のMさんがファミレスのシートに腰掛けるや否やの開口一番。

このひとことをきっかけに、皆、それぞれに思い出話を語り出す。

「私、世界中で一番の馬鹿になったかと思った」と私。


「それは、私もよ」


と私に一番、年の近いAさん。

本当に、ハンドルを右に切れと言われれば、左に切る。S字をすれば、縁石に乗り上げる。私の運動神経は、一体、どうなってしまたんだろ。

< 8 / 20 >

この作品をシェア

pagetop