俺は笑った
笑顔
俺にはなんでも話せる幼なじみのユキという親友がいた。
ユキとは小学校から高校までずっと一緒だった。

中学生のころ、俺は好きだった人にふられ、かなり凹んでいた。
そんなときユキが
「泣いてんの?あたしはあんたの笑ってる顔が好きなんだけどな」
それはあいつの精一杯の励ましだったのだろう。
でも素直にうれしかった。だからこれからはいつも笑っていようと思った。

月日は流れ、高2の秋、ユキは急に「一緒に帰ろうよ」と誘ってきた。
「急にどうした?」と聞くと
「ちょっと話したいことがあってさ…」と答える。
そのとき俺は、もしかして告白!?なんて勝手に妄想してにやけていた。
帰り道、小さいときに遊んでいた公園によった。するとふいにユキが言う
「あたしね、来週引っ越すんだ。」
突然のことに俺はなにも言えなかった。そして、告白されると妄想していた自分が情けなく感じ、なんだか恥ずかしくなった。するとユキはこう続ける
「お父さんの仕事の関係でね。だいぶ遠くに引っ越すんだ。」
なんて言ったらいいかわからず、俺は素っ気なく
「そうなんだ、まあ元気で頑張れよ。」
といい、咄嗟に笑顔を作った。

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