【完】サクラのうた ‐桜庭 大雅‐
…つーことで。
それからの数日間、綾ちゃんを観察することにした。
て言っても、ストーカーみたいに付きまとうわけじゃなくて。
1年生の教室に行った時に「なんとなーく」見てみたり、
廊下ですれ違った時にこれまた「なんとなーく」見つめてみたり。
…あはは、ストーカーギリギリかも?
まぁいいや、気にしない気にしない。
…で、そうやって数日過ごしてわかったことがある。
綾ちゃんは、凄くよく笑う子だ。
友達と楽しそうに笑うのはもちろん、男子とも分け隔てなく接して笑ってる。
…だからたちまち、クラスの人気者。
…俺みたいな作り物の笑顔じゃなくて、本当の笑顔がそこにある。
…そんな風にクラスに溶け込めるなんて、すげーよな。
俺は作り物の笑顔と馬鹿みたいなキャラクターでなんとか溶け込めてるのにさ。
なのにあの子は、そんな風にしなくてもちゃんと「自分の場所」が出来てる。
…龍輝とおんなじ。
何もしなくても自然と人が集まってくる。
俺には無いモノを持ってる龍輝と、あの子はおんなじだ。