【完】サクラのうた ‐桜庭 大雅‐
「…でも、そうするとやっぱりサクライ アヤとは違うんだよなぁー」
……いや、俺が知らないだけでサクライ アヤは元々そういう奴だったのかな?
…考えてみりゃあ俺、いっつもあの子の怒った顔しか見てなかったなぁ。
いつもいつも、「またここに居るんですか?」って言われて、「早く行ってください」って怒られて。
……あはは、なんだかんだで、けっこー接してたな。
部活前のあの子と話すのが当たり前になってて、他のテニス部の子が茶化してきて、そしてまたあの子が怒って…。
…今まで忘れてたけど、でも、けっこー楽しかったな。
「……だけど、龍輝と仲直りして、またみんなと活動するようになって…、それで会わなくなったんだよな」
…別に待ち合わせてたわけじゃないし、むしろ、俺が行かない方が邪魔になんなくていいだろ。って感じだったし、
それに、梅雨の時期で外に居ること自体少なくなってた。
…だからそこで俺とサクライ アヤの関係は無くなったんだ。
……そして月日は流れ、俺は中学を卒業し、そのままサクライ アヤのことを忘れていった。
…綾ちゃんは、やっぱりあのサクライ アヤなのかな?
でもさ…、サクライ アヤは、俺のこと嫌ってたよな…。