【完】サクラのうた ‐桜庭 大雅‐
やっと確信が持てた。
怒った顔を見て思い出すっつーのはヒドイかもしれないけど。
でも、やっとわかったんだ。
「あー…やばい、すげー懐かしい」
いろんなことが頭の中を巡り、そして今に辿り着く。
あのサクライ アヤだ。
ずいぶん変わっちゃったけど、あの子がまた俺の前に居て、そして笑ってる。
「やっと思い出したんですか?」
「だってお前、変わりすぎじゃん。
俺の中のお前はこう、丸っこくてまんじゅうみたいな…――」
「あーもうそれ以上言わないでください…!! 昔の話はしたくないんですからっ!!
……えと、移動しません? ここだとちょっと、話しにくい…」
…あー。
周りにはまだ数人残ってて、盛り上がる俺たちを注目してる。
綾ちゃんはそれを気にしながら頬っぺたを赤くして、ほんのり上目遣い。
うわー…すげー女らしくなった。
言葉も仕草も、なんか全部が可愛い。
なんか…、見てるこっちが恥ずかしいんスけどっ!!
「あー…、よし、んじゃあ再会記念スペシャルっつーことで、メシ食いに行こっか?」
「もちろん、桜庭先輩の奢りですよね?」
「おー、なんでもジャンジャン頼めー」
と、そんなことを話しながら教室を出た俺たちは、周りの目なんてまったく気にせずに歩き続け、そしてファミレスへと到着した。