【完】サクラのうた ‐桜庭 大雅‐
恋愛には興味ない。
――……。
……。
「…再会記念スペシャルが、ファミレスですか?」
…うん、ごめん。
「いやぁ、龍輝としょっちゅう飲んでるからさぁ、金欠気味で。
あ、とりあえずドリンクバーでいい?」
「…はい」
何か言いたそうな綾ちゃんを遮り、にっこり笑って言葉を続ける。
「しっかしキミ、変わったねぇー。
俺の中のサクライ アヤは、ほんと丸っこいイメージしか無くてさ。
だから一致するまで苦労したよ」
「…そりゃあ、あれから3年経ちますから。
あ、先輩が卒業したあとね、私テニス部ですっごく活躍したんですよ?」
「あはは、自分で活躍とか言っちゃってるし」
「でも、テニス部創立以来の初ベスト8ですもん」
「全国?」
「いえ、地区大会です!」
…いやいや、地区大会かよ。弱すぎじゃん。
そんなんで目をキラキラさせて自信満々に言ってるとか、どんだけおめでたい子なんだよー…。
「…キミさ、天然とか言われない?」
「いえ、しっかりしてるなーといつも先生に言われてましたが」
あはは…。
俺から見りゃ龍輝とどっこいどっこいだけどね。
まぁでも…、けっこー楽しく話せてるからいいか。
「…なんか、不思議だよなぁ。
昔は怒ってる綾ちゃんしか見たことが無かったけど、今は笑って話してる。
やっぱり時間が経つと変わるもんだねぇー」
こんなに面白い子だとは知らなかったなぁ。
知ってたら、もっときっと…――、
「あの、桜庭先輩」
――…え?